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2006年12月29日
JTの不思議な広告
かの名著「CM化するニッポン. なぜテレビが面白くなくなったのか」の谷村智康さんが財界展望(ザイテン)に執筆された記事より~
タバコ会社の広告は、一見するとおかしい。
モータースポーツには「常軌を逸した」金額をつぎ込んでいる。豊富な広告予算を
持っている携帯電話でさえ、その前ではかすんでしまう。
マイルドセブン・ルノーの新車発表会は、モナコのカジノを貸し切って行われた。
市販車では考えられないこの豪華なプレス向けイベントは、タバコ会社の要望に応え
たものである。
タイヤやオイルと違って、別にF1とタバコが近しい関係にあるわけではない。
その
証拠に、F1ドライバーに喫煙者はいない。
どうしてタバコ会社はそこまでF1に予算を費やすのだろうか?
『大人タバコ養成講座』を青年マンガ誌にカラーで掲載しているのも不思議だ。
『大人タバコ養成講座』はそのタイトルから想像されるものとは違い、大人の振る舞
いを諭すものでもなければ、喫煙者のマナーを訴えるものでもない。
端的に言えば、「何が言いたいのか分からない」広告だ。しかもそれを法律で喫煙が
禁じられている高校生や大学生が読むメディアで展開する不思議?
だが、それで良いのである。
タバコという商品は、皮肉な特性を持っている。
若いうちから喫煙を開始しないと、喫煙習慣が身につかない。喫煙者の55%が10代で喫煙を体験しているとの調査結果(厚生労働省:1998年)があるが、我が身とあたりを振り返って考えると、控えめな数字だろう。たばこは酒と違って、「大人になったから」としてたしなむものではなく、大人ぶって背伸びして吸うもので、ティーンエイジのころにこそ挑戦してみるものだ(成人した記念にタバコを吸うという話は聞かない)。
だから、未成年にこそプロモーションしているのだ。
F1にスポンサードしていたのも、ティーンに人気のスポーツだからで、彼らの接する
メディアに、モータースポーツを装って載るためである。
『大人タバコ養成講座』は、わけが分からなくても一向にかまわない。むしろ、「タ
バコは大人だけが吸って良いもので、未成年者が口にしてはいけない」「受動喫煙に
配慮して、他人のいる場所での喫煙は控えるべき」と伝わってはまずい。「校舎裏で
友達から勧められて」という伝統のプロモーションを崩すことになる。
法律の制約があるから、表立って「リアルなターゲット」にプロモーションはできな
い。しかし、的を外していたら潰れてしまう。つまり、タバコ産業は「法律の制約を
かいくぐって、ティーンエイジャーに脱法行為させる」ことに努めているのである。
だから、タバコ会社のプロモーションは迂遠なものになり、広告はわかりにくい。

